11月初旬、拙艇のエンジンが故障
12月からエンジンの分解整備そして修繕をお願いしています。
現状としては燃焼室への海水の浸入に拠るウォーターハンマー症状で各箇所の破損が確定です。ヨットの排気、冷却排水系統は事由は兎も角てして「湿式排気」を採用されており拙艇も同様なシステムで運航しております。
自艇は ベネトウ オセアニス281
エンジンは ヤンマー2GM20F
型式(製造年) 2GM(1981-1984) 2GM20(1984~ )
内径×行程mm 72×72 75×72
排気量 cc 586 636
連続最大馬力ps 14/3400 16/3400
実用最大馬力ps 15/3600 18/3600
乾燥質量 kg 100 106
オルタネーター容量 35A 55A
今回の故障で海水浸入に拠る「ウォーターハンマー」の根本の原因はこの「湿式排気」ではありますが、これを「乾式排気」などに改修するのはヨット設計をするほどの労力と今後の維持方法の試行錯誤が必要になり凡そ現実的ではありません。然し乍ら、何かが平常と異なり成り立たなくなって「湿式排気」が破綻してしまったのか、考察して対策を施こし、同じ故障(エンジンの破壊)を起こしてしまうのは回避しなければなりません。
ヤンマーのマニュアルに有る図を借用します。
エンジンの設置位置と喫水線の関係性に拠ってミキシングエルボ、ウォーターロック、船外排気部のグースネックの高さなどを規定しております。
ミキシングエルボ
基本的にはステンレス製の2層管形状のミキシングエルボが設置されており、
オプション
喫水線より下にミキシングエルボが設置されるエンジン配置では逆U型のエルボを用いてサイフォン防止用の分岐で吸気パイプを上部へ開放する事が条件となっております。
自艇の立面図、内部構造図はマニュアルにも有りませんでしたが、Webなどの図を参照して組み合わせてみますと、自艇の場合は大方、喫水よりも上方で排気へ冷却水は合流しており、
ウオーターロックへと接続されて排気されております。
現況を観察する限りではヤンマーの施工基準に準じており、自分が乗船する事となって、神戸から津までの回航も含めてエンジン稼働の排気圧による冷却水の排出は滞りなく出来ていたと考えます。
・・・
さて、この湿式排気方式についてエンジンへの海水流入を危惧する件については
何れも
1.ヨットでは海上でエンジン停止して帆走にて航行する。
2.荒天でグースネックを越えて海水が逆流する。
3.帆走時は見かけ上の喫水線が実際はヒールに拠って冷却水流入点が実際の喫水より下がる事がある。
4.「エンジン停止時」に自己サイフォンなどにより排気、排水管が海水で満たされるなどなど・・・何れもエンジンの停止時に対する警鐘と事象を想定していますが、
今回の事故、
自艇の場合はセールを収納してからは機走で帰港し、港内はデッドスロー、接桟進入はアイドリングとエンジンか稼働状態にあり、湿式排気の破綻がどこで起こったのかが未だに想定出来ません。
例えば蓄積したカーボンなどが欠け落ちて詰まるなどしてエンジン内部のエクゾーストバルブが閉まり切らなかったが為に吸気行程でミキシングエルボの海水を吸ってしまった・・・などと確定すれば、エンジン修繕後も従来通りの湿式排水方式を踏襲して復旧出来るのですが、・・・・。
先達のヨットマン 下記のページを参考にさせて頂いて居ります。